春かと思った

書いてから一年後ぐらいに公開する日記など

2017年12月

- 2017年12月5日 火曜日
庭劇団ペニノ「ダークマスター」オーバルシアターで観た。この劇団は10年ぐらい前に精華で観て以来。やはり美術すごかったし、この観劇体験自体にテンションあがるし、おかしみもあり、退屈せずに楽しめたが、心はあんまり動かなかった。尻は痛かった。いろいろ気づきがあったので観てよかった。


- 2017年12月5日 火曜日
自分の中の学生気分をひっぱりだして浸りたいときにはここらへん↓
andymori「ベースマン」
岡崎体育「鴨川等間隔」
津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』


- 2017年12月7日 木曜日
満員劇場御礼座「事情があります」
私は、いつでもヘラヘラすることのかっこよさっていうのがあると思っていて、満劇を観るとそれを感じる瞬間があって、ああ、おとなっぽいな~と思って、ときめく。


- 2017年12月9日 土曜日
何も楽しみなことがないのに何かあるような気がしてた。ずっと気がしていたかった。あったけどなくなった?全てのことは自分が夢を見つづけるためにやってるんだぐらいに思っていて(すぐ憂鬱になってしまう自分を助けることを最優先課題にしてて)じゃあそれならもっと頑張ったほうがいいよな。


- 2017年12月10日 日曜日
■面白そうな主題、かっこいい装丁。中身はぺらぺらで全然ガツンとこない本ってある。何も調べてないし何も論じてないのになんとなく学者ふうの本がむかつく。期待して読むから本当にがっかりする。力があって面白い本というのが確かにあるのに。

■本や音楽に助けてもらって生活していこう。なにもハマらないときもあるが。きのうは友だちとごはんのおかげで元気がでたが、気持ち悪くなるまで飲んでしまった。


- 2017年12月11日 月曜日
本を読むなどして、ちょっとおのれと距離おきたい。飽きた。


- 2017年12月13日 水曜日
■エウゲーニー・M・ラチョフ 絵 / 内田 莉莎子 訳『てぶくろ』福音館書店
てぶくろの持ち主が見ていないところで起こっている出来事だというところが、いいなと思う。最後は、まるで何もなかったみたいに、最初に戻る。「自分の見てないところで、こんなことが起こっているかもしれない」と子どもに想像させるような。くりかえし・増えていく・最初に戻る、という、昔話や子どもの本の「お決まり」がいっぱい入っていてたのしい。

■仕事のあと自主研修的な読書会。今回の課題本は『ちびくろ・さんぼ』(The Story of Little Black Sambo)。原書、岩波版ほか、いろいろなさんぼを読み比べ。関連資料も。「黒人差別をなくす会」による抗議や岩波の絶版のこと。灘本昌久の資料も読みつつ学ぶ。
そういった問題はちょっとおいといて
どんな作品なのか。
特に岩波版。私はまず絵が好き。
「虎がぐるぐるしたらバターができる」っていうことじたいが、なんかいろいろなところで引用されてる気がする。そのバターでホットケーキを焼いてたくさんたくさん食べる。ただただすごい幸せな感じがする。民話的でもある。昔話のおじいさんやおばあさんに名前や人格がないみたいな話で、サンボも、誰でもない、昔話の中のひとりの子どもなのでは?みたいなことを思った。それが「黒人をステレオタイプに描いている」っていう指摘への反論になりそうな、ならなさそうな。うーん。みたいなことを考えた。


- 2017年12月14日 木曜日
『あたまをなくしたおとこ』クレール・H・ビショップ 作、ロバート・マックロスキー 絵、もりうちすみこ 訳、瑞雲舎 2011年
“あるあさ、おとこが おきたら、あたまが なかった。”
書き出し最高。絵もクール。ただ奇想天外なだけじゃなく、ちゃんと読ませる・聞かせるおはなし。さすが。声に出すのがたのしい。これは日本語訳が良いってことなのかもしれないけど、「あたま」にまつわることばの多様さがおもしろい。結末もいい。
作者は『シナの五にんきょうだい』のビショップと、『サリーのこけももつみ』のマックロスキー。原書『The Man Who Lost His Head』は1942年刊。昔のアメリカの「のうぎょうまつり」が描かれている。


- 2017年12月17日 日曜日
■J・ウェブスター 作,坪井郁美 訳『あしながおじさん福音館書店福音館文庫
"かわりにやさしい本を読むのです。読まなきゃならないんです。だって、わたしの背後には、十八年もの空白があるんですもの。わたしの頭の中にあいている無知の空洞がどれほど底知れないものか、おじさんには信じられないくらいなんですよ。わたし自身にもやっとその深さがわかってきたところなんです。"
勉学に向かう姿勢に心うたれる。っていうかそういうのが好きなのかも。小公女も好きだったし、マリー・キュリーの伝記の椅子を積み上げて勉強した話も好きだったな~と思って。勉強がしたくなる。福音館版は、『くまのテディ・ロビンソン』や『こいぬがうまれるよ』の翻訳をしている坪井郁美さんの訳。原題のDaddy-Long-Legsは虫のことらしいとほかの本で読んだ。最初に「あしながおじさん」と訳した人はすごい。この本は挿絵もウェブスターが描いたものが載っている。すてきなイラスト。
"わたしがおじさんにたいして、つまり、わたしの家族の役を一手に引き受けてくださっているあなたにたいして、ずっと特別な感情をいだいてきたことはわかっていただけると思います。でも、もっと、もっと、特別な感情を別の男の人にいだいている、といったら、おじさん気を悪くなさいますか?"(p.238)
それぞれの特別な感情は、もともとひとつのものだったのか。父性と恋と…。みたいなことを考えるとちょっと気持ち悪く思ってしまったりした。でも美しいと思う。谷川俊太郎の「恋は大袈裟」というエッセイも思い出した。谷川俊太郎あしながおじさん訳してる(フォア文庫)。

田中啓文 作,朝倉世界一 画『落語少年サダキチ』福音館書店
主人公は大阪の小学5年生、忠志。5時間目のお楽しみ会で漫才をやる予定だったのが急に相方が降りてしまい、ひとりで落語「平林」をやることに。練習してたら江戸時代の大阪へタイムスリップしたりなんやかんや。こんな大阪弁喋ってる小学生(と親)おらんのでは?と思う口調なんだけど、それがいい。朝倉世界一の挿絵もいい感じ。小学生向きだと思うけど、YAでも。内容はややマニアック。ぐんぐん読ませるストーリーもあって、装丁も挿絵もかわいい。デザイン:祖父江慎+鯉沼恵一(コズフィッシュ)。パッとひらいたとき、児童書としては行間せまいなって気はした。最近2巻が出たけどそっちはまだ読んでない。巻末の桂九雀の解説もおもしろい。落語についてちょっとくわしくなれる。落語がききたくなる。

■まついのりこ『おかあさんだ』偕成社
赤ちゃん絵本。左のページはひとりで泣いている動物の子ども。右のページはおかあさんといっしょで安心・笑顔の母子。という繰り返しの構成。図書館で働き始めたばかりのとき、この本に出会って、すごい、こんな本があるのか?と感心した。子どもには同じ「あかちゃんのほん」シリーズの『じゃあじゃあびりびり』のほうが人気なのかも?と思うし、何より「おかあさんだ」だけじゃなくて、おとうさんは?ってなるよな?って思うし、それにいろんな家庭の事情があるし…とか思うけど、でも、ここまでシンプルに不安と安心を表してるこの構成にすごいなあと思う。大人になったからかもしれないけどちょっとうるっとくる。子どもの本に対して、「大人が泣ける」とか「大人でも楽しめる」とか言うのはあんまりよくないけど。

■Uさんの、無理やりつなげるんだ、という話が好きだったし勇気もらった。自分が今までやってきたことつながってるんじゃなくて、今の自分が過去をつなげるんだみたいな。言葉通りじゃないけどこれは。記憶あやふやで。


- 2017年12月20日 水曜日
ジュディス・カー 作、晴海耕平 訳『おちゃのじかんにきたとら』童話館出版
母と子のお茶の時間に とらがやってくる。家のものを全部食べてしまい、水も全部飲んでしまい、帰って行く。父が帰ってきて外食。買い物。非現実的なおもしろさよりも、外食に行くところとか、この家の豊かさ、幸福さに、ああ、いいなあって思っちゃう。母娘がとらを受け入れてるところも素敵。


- 2017年12月22日 金曜日
おもしろそうだなとか、おもしろくなさそうだなとか、あらかじめ決めつけてから観にいってて、おもしろいんだろうと思って観たものはやっぱりおもしろいし。いいのかそれで。そういうのをふっとばす圧倒的なおもしろさもあるし、おもしろくなくてもまあ観てよかったとは思うし。いいのかそれで。少し前まで演劇を観ることがしんどいというか結構大変で、あまり観に行けてなかった。が何故か先月5本観て今月7?8本観る予定で自分の中ではこれは多いほうで、なんかいよいよ演劇が好きだ。ブームなのか。そうして「演劇苦手」みたいな気持ちを忘れていくんかしら。それってどうでもいいことか。


- 2017年12月23日 土曜日
■GoldFishTheatre『GFT版 贋作・桜の森の満開の下カニ組 観た。たくさんの人がいて、いろんなことが起きていたが、何が起きているのかあんまりわからない、と思うこともあった。楽しいか楽しくないかみたいな話、大勢の参加者がどのように考えているのか気になった。姉が快活でなんか安心した。

■コヤマスカン『DX版 新幹線のたび~はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断~』講談社
ぎっしり描き込まれた絵。青森から鹿児島まで新幹線で行く。新幹線が日本のどこを走っているのかわかるのがいい。DX版はでかい地図付き。


- 2017年12月24日 日曜日
劇団不透明『愛と混在』観た。女の子がかわいく描かれている、のではなく、かわいい女性の俳優が作り手の都合で使われて、雑なハーレム形成してるように見えた。えらそうな男ばかり。魅力的なクズってわけでもない。どこまでいってもかっこいい僕。でも旗揚げ公演だから。


- 2017年12月29日 金曜日
わたしは、漫画のカイジが負けて賭けた指を切断する前に言う
「敗者は失うっ…!それをねじ曲げたら…………なにがなにやらわからない…」
というセリフが大好き。
私にも、ねじ曲げたくないこと、ぼかしたくないことがある。
何とどんなふうにたたかうかは自分が決めること。


- 2017年12月30日 土曜日
■DanieLonely『通りを抜けて、街を背に』観た。俳優がすてきだ、って強く思える演劇を観たときの充足感ってある。そういうものだけを好きと思っているわけではないけど……、ああ、いいな、良い時間だな、好きだなってじわじわと思った。

■しずかとユキ『Equal』今この人誰だっけ?とわからなくなる感覚面白い。録音したテープを再生するみたいに、覚えた台詞を発してるような、そんな話し方だと思えた。ト書きもうつくしい。戯曲はメモリーなんだなと。本当にいたのか たしかでないふたりのことを思って泣きたい気持ちになった。


- 2017年12月31日 日曜日
西村繁男『もうすぐおしょうがつ』福音館書店
ある家族の年末年始の過ごしかた。